オフサイド・ガールズ
サッカーはイランで国民的なスポーツだが、男性の競技を女性がスタジアムで観戦することは禁止されている。06年のドイツW杯出場をかけた一戦に、男装して入ろうとした6人の女性が捕まり、スタジアムの外の仮設留置所に入れられる。「どうして私たちはだめなの?」「試合を見せて」。彼女たちの願いは通じるのか。
映画の着想は、かつてサッカーの試合を見に行こうとした時、当時12歳の娘に「連れていって」とせがまれたことだった。一緒に会場に行ったが、やっぱり入場はだめ。すると娘は「パパ、先に入ってて。もしかしたら忍び込めるかも」。10分後に娘が入ってきた。「『どうやって入ったの?』と尋ねても、全然、教えてくれなくて。あとから男装して入場する女性がいると聞いたのです」
身近な問題を映画にしてきた。「私は社会問題をテーマに映画を撮っている。題材は自分の経験や、友達や隣の家などで聞いたことで、自分から離れたものは描けない」
主人公たちは、刑務所を仮出所した女性など、厳しい戒律の下で生きる女性が多い。「社会問題の中でも特にバリア(障壁)に焦点をあてている。バリアは誰にもあるが、女性は特に感じるのではないか。だから、バリアを描くとなると女性から入ることになる」。今回の作品は、イランでは上映許可がでていないという。
47歳。デビュー作「白い風船」はカンヌ映画祭の新人監督賞、「チャドルと生きる」はベネチアで最高賞、「オフサイド~」はベルリンの審査員特別賞と、高い評価を得てきた。
「毎回、賞のことを忘れて作品を作ろうとしてきたし、今もまだ自分のベストは撮っていないと思う。受賞トロフィーはすべてイランの映画博物館に飾ってもらっている。毎朝、目の前のトロフィーを見て(安心して)『じゃあ、寝てしまおう』とならないように」
各地で順次公開。
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